口田中学校 科学部 (広島県)
草取りをしていたときに、一人の男子部員が、「よもぎ餅が食べたい。」と言い出しました。「ムリムリ」と,その場では答えたものの、口田中学校では、毎年12月に「地域ふれあい祭り」で、餅つきがあります。そこで、毎朝校門に立って登校してくる生徒にあいさつをしてくださる、地域の団体の役員さんに話を持ちかけてみました。「科学部がよもぎを提供するので、よもぎ餅もつきませんか?」「よもぎ餅!そりゃぁ、ええねぇ。」と、即OK。
さっそく部員たちに知らせて、生徒会が募集している餅つきボランティアに応募です。
天気予報を見ながら、雨が降る前の水曜日に収穫です。その気で探すと、グランドの周辺など、校内のあちこちによもぎが生えています。バットに山盛り収穫してきました。
雨降りの木曜日に選別し洗ってゆでました。沸騰した湯によもぎの葉を入れ、後から重曹を投入します。あくが抜けて、鮮やかにゆであがりました。
餅つき前日の金曜日は、包丁で細かくきざんだ後、すり鉢に入れてすり下ろして、よもぎ餅用のよもぎの準備が完了です。
さて、当日です。役員さんの作戦で、よもぎ餅は最後につくことになりました。最後の一臼は科学部メンバーでつきます。リズム感のなさを露呈する部員もいて、大笑い。
餅は豚汁に入れて、ふーふーしながら、みんなで食べました。
比較的暖かかったのにも助けられて、せっせとよもぎを収穫しました。
重曹を入れたとたんに、ジュワーッと二酸化炭素を出しながら溶けていくのに、まず感動。そして、見る見るお湯の色が黄緑色に変わっていくのを見て、重曹の威力に感心しました。
餅つきは初めての部員ばかりで、予想以上に重たい杵に悪戦苦闘したり、リズム感がないので、交互にテンポよくつけなかったりでしたが、地域のおやじ達に励まされながら、汗を流し、つきあげました。
白いお餅ばかり出来あがった後に、鮮やかな緑色の餅が登場したので、餅を丸めていた生徒たちも大喜びです。色だけでなく、よもぎの香りが暖かい餅から漂ってきます。「きれいよね。」「いいにおい。」そして、「おいしい」の連発。
参加した先生からは、「私、よもぎ餅大好きなんだけど、売っているよもぎ餅って何が入ってるか分からんから、だまされてないか心配しながら食べてるんだけど、今日のよもぎ餅は100%安心して食べられるので、すごくうれしいし、とってもおいしい。」と、喜びの声。
科学部で夏に作っておいた野草茶がまだ残っていたので、やかんにたくさん沸かして、参加したみなさんに飲んでいただきました。さっそく、野草茶の試飲大会になりました。用意された麦茶と十六茶のペットボトルが、大量に残ってしまう事態になり、役員さんたちからうれしい悲鳴も出ました。
身近にあって、抜いても抜いても生えてくる邪魔くさいばかりのよもぎですが、いざ餅にして食べるとなると、俄然張り切ります。
重曹を使うと野草のあく抜きができるのを、感動しながら知ることができました。
よもぎ餅を食べたり、野草茶を飲んだ人たちの反応が、直に部員達に伝わってきました。今まで科学部として、こんなに人が喜んでくれる経験をしたことがなかったので、参加しての喜びは大きかったと思います。
たくさんよもぎを収穫したつもりだったのに、一臼分しかなかったので、「来年は春から収穫して冷凍しておこう」と、部員たちは、もう来年に向けての意気込みを、感じさせてくれました。
ボランティア活動の盛んな本校ですが、科学部メンバーが興味を持って参加できる活動がなかなか見つからず、これまでだれもボランティア活動に参加していませんでした。これで科学部もボランティア活動に参加できるようになりました。地域の行事に参加することで、口田中の科学部の存在をPRできました。
この行事は地域の「おやじの会」やPTAがお世話をして、地域の人を中学校に呼んでやっている行事です。今年は約100名の参加がありました。生徒会がボランティアを呼びかけて、餅つきの他に、豚汁作り、ベンチ作り、す板のニス塗りなどの活動をしました。
後日、科学部がよもぎを採ってきてよもぎ餅をついた話をかぎつけた国語の先生は、家で年末につくお餅用に、よもぎの在りかを尋ねてきて、さっそくビニール袋を持って収穫にいきました。重曹とともに下ごしらえの方法を伝授し、とても喜ばれました。
口田中学校 科学部(広島県)
口田中学校 科学部(広島県)
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