口田中学校 科学部 (広島県)
校内にはえている雑草を採取して、野草茶を作りました。前庭で季節外れのカラスノエンドウがまだわずかに生えていたのを見つけました。「これを収穫し、さっと洗って、輪ゴムで結わえ、軒下に干しました。天気が良かったので、3日もすればかなり乾燥しました。はさみでチョキチョキ裁断し、調理室から借りてきたフライパンで煎ると香ばしいにおいがしてきます。お湯を沸かして飲んでみたところ、「おいしい」の反応。次は、特別支援学級の畑にスギナが生えているのを、「草抜きのお手伝いをしよう」と、抜いて洗って、軒下に。プール近くのドクダミは、ヒマワリを植える邪魔になるからと、理由をつけて収穫です。中庭には、オオバコやハルジオンがぎっしり生えていました。形だけでは区別がうまくつかない物もとりあえず全部理科室に持って帰り、葉脈を見比べて、お目当てのオオバコだけをチョイス。洗って天日干し。「ツユクサもおひたしで食べられるから」「エノコログサやササの葉のお茶もおいしいよ」と数を増やしていき、十六茶ならぬ、「八茶」が完成です。オープンスクールの時には、科学部を見学に来た6年生にも振る舞い、慣れない中学校に緊張ぎみの6年生を歓迎。12月の地域の行事「餅つき大会」でも、参加者に自由に飲んでもらいました。やかんごとにブレンドがちがうお茶の飲み比べが始まり、用意されていた麦茶と十六茶のペットボトルがたくさん残る事態になりました。
季節外れのカラスノエンドウがまだわずかに生えていたので、「これを、お茶にしたら『豆茶』といって、おいしいんだよ。」と言われると、口卑しい(笑)部員たちが、目を皿のようにして、1本残さず全部収穫してしまいました。「スギナ茶もドラッグストアや道の駅なんかで売っていて、高血圧に効くからって、わざわざ買いに行く人もいるんだよ」と言われて、半信半疑のまま収穫。はさみでチョキチョキ切る作業は、すぐにはまってしまい、次々とやってのけるのだけれど、かなりおおざっぱでLサイズオンリーで作業終了。夏休みになると、むっちゃ暑いので、作業は朝早い時間だけにし、場所も日陰限定にしてはみたものの、草取りは、やはりうんざりです。そこで、みんなでシソジュースを作り、草取りに汗をかいた後は、冷たくさっぱりのシソジュースを飲んで鋭気を養う作戦に出ました。ところが、シソジュースが口に合わない女子たちは、「おいしい、おいしい。」と喜んで飲んでいる男子部員を横目にして、ちょっと不機嫌です。その女子部員が、熱~いカラスノエンドウのお茶を「おいしい!」と目を輝かせました。「よし、もっといろんな野草でお茶を作ってみよう。」と、種類を増やしていきました。交代で葉をブレンドするのも、楽しみの一つです。部活でティータイムをたのしんでいます。
茶という植物から作られたお茶だけでなく、身近な植物から簡単にお茶ができることが分かりました。野草茶は珍しい物ではなく、ちょっと前の日本ではそれが普通に飲まれていたんだと思われます。ネットで調べてみると、身近な野草から作ったお茶の効能がたくさん書かれているのに驚きました。あれも、これも、何でもお茶になるし、ちゃんと効能が示されていて、医学的にも確かな情報のようです。
「これなら、お茶の葉を買わなくてもすむじゃん。」と、言った部員もいました。
4月から顧問が替わり、「奉仕活動」といいながら、雑草抜きが活動のメインになってしまった科学部でした。取っても取ってもある雑草との闘いに、みんな飽き飽きしていました。
草取りという地道な作業ですが、お茶にするという目的を持って、その日のお目当ての植物を限定して取り組むことにしました。
まだ口にしたわけでもないのに、「食べられる」とか「飲める」と聞いただけで、どんな味がするのだろうかという好奇心が沸いてくる部員たちが、まんまとこちらの作戦に乗せられた感じです。おいしく口に入って健康にもいいという動機が加わることで、意欲を喚起することができました。
口田中学校 科学部(広島県)
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