逆川こどもエコクラブ (茨城県)
茨城セブンの森となっている英宏の泉に、多数のスナヤツメが産卵する姿が確認されました。
英宏の泉に下流にある湿地帯は約50年間放置された休耕田です。2014年から、クラブメンバーや英宏小中学校、常磐大学松原ゼミが協力するホタルネットワークmitoを結成し、除草と間伐を繰り返してきました。
人が入れなかった鬱蒼とした森と雑草地帯は、里山風景が復活し、湧き出る泉が沢をつくり、小川をつくり、生物多様な空間が再生してきました。
太陽の光が射した森の中の泉には、2015年にサワガニが、2016年にホトケドジョウが、2017年にシマドジョウが姿を現し、いずれもその後に数が増える繁殖を確認しています。
また、ホタルは逆川緑地からの移植が成功しています。
そして、今回、新たにスナヤツメが確認されました。スナヤツメは、環境省絶滅危惧種VU(絶滅危機が増大)に指定されています。昭和30年代までは全国の河川に普通に生息していたとされていますが、水質悪化と3面張水路、荒廃地の増大によって、ごくわずかな箇所での生息に限られてしまいました。水戸市街地では、逆川緑地に僅かに確認されていましたが、今回は、この30年で2例目です。全長13~16 cmで、幼生はアンモシーテス幼生と呼ばれ、吸盤がなく眼は皮膚の下に隠れています。アンモシーテス幼生の期間を約3年過ごし、全長14cm程度で変態し、目と吸盤を持つのです。
英宏の泉に姿をみせたのは、変態後のもの。成魚はいっさい食物をとらず、産卵の準備をし、春先に集団行動により、湧水で産卵していきます。私たちが確認したのは、まさしく、産卵シーン でした。
何十匹ものスナヤツメが重なり合い、体を丸めながら石や流木の下に潜ったり出てきたり。
スナヤツメとしては、最後の力をふり絞って、一生を終える瞬間。そこに廻り合わせた私たちは、魚たちに泉を守っていくことを約束しました。
スナヤツメは、半世紀の間、鬱蒼とした暗い休耕田の水路に生き残っていたのでしょう。里山が復活してきた英宏の泉に生息する新たな仲間に加わりました。
逆川こどもエコクラブ(茨城県)
逆川こどもエコクラブ(茨城県)
逆川こどもエコクラブ(茨城県)
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