みどりのゆび (富山県)
みどりのゆびは薪ストーブで暖をとります。
家族のうち、祖父が薪を調達します。市のテーマパーク、リンゴの果樹園、農家などの知り合いの、林や木の間採を引き受けていただいたものです。
そして冬の間りんごや桜、杉やキブシ、ナラや松、さまざまな木のおかげでわたしたちは暖かく暮らします。
その大切な仕事である火おこしと、火をたやさないこと、その見張りとをこどもたちは毎日します。
おもに悠鯉樺が火を起こし、ふたりで薪をくべます。居彌はこのお正月、初めて薪割りに挑戦しました。
そして家から約250メートルの、駅前のス―パーマーケットまで、「おいしい水」をくみに行くのもこどもたちがやります。
3リットルのタンクを二つ使って、歩いて往復します。
薪ストーブの火起こしは、じいじにおそわりました。
悠鯉樺は、この年末からお正月にかけて、火起こしを3分から5分で完了させられるようになりました。
燃えやすい針葉樹のこっぱや細い枝や木の葉をしたに、針葉樹の細めの薪をそのうえに、大きめのものをさらにうえに、空気がはいるようにして組み上げます。したに新聞紙をくしゃくしゃにしてさしこみ、
火をつけます。
薪ストーブの炎を眺めながら、物語の朗読や、音楽に合わせてダンスしたり、絵をかいたり、工作やものづくりをしたりします。デスクワークに疲れるとポールをつかって体操やストレッチ。
また、飲み水は、むかしなら沢や井戸にくみにいったところを、ちょうどよい距離のところにスーパーマーケットがあるので、水をくむということを生活の一部にしました。
水くみでは、ス―パーでは、タンクを420円で買うとあとは無料で水をいただけます。ス―パーマーケットへの往復はこどもたちの日課のひとつです。
むかしのような水争いがなく幸いなのに加え、こどもたちは、いまでは親切なレジのお姉さんたちと、すっかり仲良しです。
薪の火の「おかげさま」がたくさんあります。
洗濯物の乾かない湿度の高いきたぐにの冬が、乾燥機を一度も使うことなく乾かし、暖をとり、料理をし、洗濯物ものも、一晩で乾きます。
煙突から垂れるやにのしずくを集めてまた使います。
灰は畑の肥料に、春に山で摘んだわらびのあくぬきに、と何一つ捨てるところがありません。
紙のごみもぐっと削減できます。
たやすくはない薪割りや材の調達、火起こし、さらには水くみ(これは志向性でえらんだもの)
どれをとってもたしかに手がかかります。
からだと手を使い、その技能を発揮して、資源を活用することを深く体感する日々です。
いのちのめぐみと、健康だからこそ、の恩恵とありがたさが身にしみます。
はじめは子供たちがちいさくて危ないのでは、という心配がありましたが、こどもたちはよくわかって、やけども事故もなく火と付き合っています。
じいじにたくさんのことを教わり、ともにおので薪を割り、母の料理をまつあいだ火のそばでくつろぎます。母も家事のあいまにほのおに癒されます。
また、水汲みではふたりコンビででかけ、あらたな人との出会いがあります。
お疲れさま!と声をかけてもらい、こちらもお姉さん頑張ってね!とエールを送って帰ってきます。
こうなると、寒い雪のふる冬だからこそ、よけいにあたたか!です。
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)