こどもエコクラブくしろ (北海道)
鮮やかな黄色と黒のストライプ、白い尻が特徴のセイヨウオオマルハナバチ。
このハチは、ハウス野菜の授粉用昆虫としてヨーロッパから輸入されている外来生物です。
ハウス農家にとっては、授粉作業の効率化によって労働力が軽減されるほか、収穫物の品質向上、減農薬の点から導入利用が本格化しました。
その一方で、逃げ出し防止対策が厳重にされなかった為に、ハウス外の自然界へ多くの個体が逃げ出して野生化し、今では高山帯も含め北海道全域に拡がっています。
釧路湿原では、2007年まで「セイヨウオオマルハナバチ」は未確認でしたが、2008年の私たちや環境省の調査により特別保護地区を含め、侵入が初確認されました。
野生化したセイヨウオオマルハナバチは、花の根元に穴を開けて蜜だけを吸う〝盗蜜〟行動を頻繁に行うため、野生植物の種子生産(花の受粉)を妨げると言われている他、在来マルハナバチの巣を乗っ取るなど生態系への影響が心配されています。
私たちは、釧路湿原に生息している在来マルハナバチや貴重な湿原植物を守るため、マルハナバチの調査・防除活動を行っています
調査は、約2㌔の距離を横一列に歩いて往復し、補虫網で「マルハナバチ」を無作為に捕まえ、和種名、カースト別、吸蜜植物など8項目あまりを観察調査シートに記入しました。
マルハナニ刺されないように慎重に、種名が分からないマルハナは図鑑で調べたり、サポーターに聞きながらみんなと協力して調査を行いました。
「セイヨウオオマルハナバチ」は防除のため捕獲してペッボトル容器に入れ、在来の「マルハナバチ」は記録後すぐ放してやりました。
今年度は6月上旬から10月中旬まで月1回、各2時間ほどの調査を行います。
どの様にしたなら、外来種のセイヨウオオマルハナバチから生態系を守る事が出来るのでしょうか。
これは、なんと言っても、授粉用昆虫としてセイヨウオオマルハナバチを導入しているハウス農家さんの使用管理に、尽きると言えます。
また、外来種に依存しなくても、それぞれ各地に生息する在来マルハナバチ活用の増殖技術確立も急がれるところです。
釧路湿原国立公園の短い夏。日差しの中で、懸命にシロツメクサの蜜を吸うセイヨウオオマルハナバチを見ていると、捕獲防除することに、深く考えさせられます・・・・・。
そして、観察調査を通してセイヨウオオマルハナバチから、「小さな命」の大切さも学ぶと共に、外来生物になんらの罪も無いことを認識して私たち人間の行為は慎重でなくてはならないし、責任をもって解決しなければならない課題であると思います。
特定外来生物セイヨウオオマルハナバチの防除活動は「特定外来生物による生態系に係わる被害の防止の関する法律に基づくセイヨウオオマルハナバチの防除従事者証(北海道知事)」許可を受けて実施しています。
こどもエコクラブくしろ(北海道)
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