みどりのゆび (富山県)
夏に環境日記「みどりの小道」をつけていました。5月なかばから、9月半ばまでかかりました。84日分のエコ日記です。
その中で、こどもたちがもっとも印象的だったのが、ゲシの夜に偶然出会った方の言葉がきっかけで、ホタルを見に行った時のことです。このときゲンジボタルとヘイケボタルの両方を観察しました。
夜7時半から9時ごろまでの間のことでした。
ホタルがクモの巣につかまっているのを見つけ、見捨てられずに助ける、ということがありました。夜の公園の散策と観察だけでなく、行動が加わって大変印象的な活動になりました。
悠鯉樺(9歳)はそのときのことをとてもこまかく日記に記しました。以下はその原文です。
今日夕方、てんきがよくて、げしだったから、おかあさんが行田公園に「しょうぶの花を見たい」といったので行きました。そして、かえりがけに、会った人が「ホタルを見たいと思って。」といいました。
それを聞いておかあさんとかいものに行ってからまた行田公園にもどりました。
しばらく公園の中を歩きまわっていたら、見に来たほかの人が
「ほたるがいるよ」といいました。わたしたちはいそいでむこうがわへ行きました。でもホタルはどこかへいってしまいました。
さがしていたら、わたしたちがいたばしょに、ホタルがいました。
続きます。
しばらくほかのホタルがいないかさがしていたら、ささのおくにホタルが光っていました。
わたしは、かいちゅうでんとうでてらしたら、ホタルがくものすにつかまっていました。わたしはいそいでホタルをたすけました。そしてはなしてあげました。お母さんが「カエルのいるほうに行こう」と言ったのでいきました。しばらくあるいていると、わたしがまたクモのすにつかまったホタルを見つけました。
ホタルは2ひきでした。2ひきはこうごに
すごい早さで光っていました。わたしはたすけをもとめているのかな、と思いました。はずしたら、ホタルは2ひきともクモのいとでグルグルまきにされていました。
わたしとお母さんはそれをしんちょうにはずしていきました。
さいごにかおのほうをとるのがむずかしかったです。
ぜんぶはずしたけど、わたしがはずしてあげたホタルは羽がちょっとやぶれてしまいました。ホタルはヘイケボタルとゲンジボタルでした。
このときはヘッドランプによる、公園のナイトハイクでした。片道1.2キロの、早月川の湧水のながれに沿った公園です。ヒメシャガやヤブカンゾウ下草のはえる
水の流れのそばのアオキとユキツバキやササの灌木のあたりにはゲンジボタルが8頭確認できました。
さらに下流の水辺にヘイケボタルが数十頭確認されました。
2種は住み分けており、その環境は、ゲンジのほうが草村の多いところをおもに住みかにしているという印象を受けました。
ヘイケボタルはげんじぼたるよりも個体がちいさく、点滅のピッチも早い。また、オスとメスで点滅のピッチがまた違う、そんなことを見つけながらの散策でした。
助けたときのヘイケボタルは、ほんとうにものすごいピッチで光っており、緊急の叫びをあげているようでした。
助けることが自然の摂理に反する、とはおもいながらも、激減している貴重なホタルの命をおもうと、そうせずにいられませんでした。
ホタルのかおのまわりまでびっしりとまきつけられたジョロウグモの糸におどろき、またそれを
無傷でゆびだけではずして解放する、ということに神経を集中しました。密度の高い時間でした。
翌日、図鑑でこどもたちはホタルのことを調べ、
イラストを描いて、理解を深めました。
何にもまして、クモの糸から助ける行為によって、強くいのちの重みを感じた経験になりました。
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)
みどりのゆび(富山県)