盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
元旦、広島県西部は大雪となり、里帰りしていたサポーターは高速道路チェーン規制のため、実家から早めに戻ることにしました。その際、海沿いで戻れば雪は少ないと判断し、遠回りですが広島→呉→竹原→三原→尾道→福山のルートで、家族と戻ることにしました。予想通り雪はほとんどなく交通量も少なくスムーズに戻れそうです。
ところが、丁度干潮の時間帯だったことが大きな障害となりました。「すまん!少し時間をくれい!」と車を停め、まだ採集をしたことのないいつくかの小さな河川干潟で調査を行いました。
結果、まだクラブでは一度も採集したことのないクボハゼの生息を確認できました。後日、確かめに行き、多く生息することも分かりました。
これで県の干潟にに生息するウキゴリ属をすべて確認できたので、あらためて特徴や生息場所についてみんなで話し合ってみました。
写真のように、この4種はとてもよく似ていて区別がつけにくいため、どこをポイントに判断するか、いろんな意見が出ました。「キセルハゼは大きい」という意見もあり、確かなのですが「幼魚だったらどうするん?」という意見に消されました。いずれも冬の時期甲殻類の巣穴に産卵するため干潟にやってくるのであれば、生息地の違いを考えてみることにしました。みんな少しずつ謎が解けていくようで楽しくなってきました。
これまでの生息地の記録写真を調べなおした結果、次のような傾向があると思いました。
1.チクゼンハゼとエドハゼは、比較的大きな河川干潟のより川に近いたまりに出現していることが多い。
2.クボハゼとキセルハゼは、河川干潟のより海に近く川の水が流れている所で出現している。
3.干潟の底質の違いでもすみわけているみたいだ。砂が多い所ではチクゼンハゼとクボハゼが、泥が多い所ではエドハゼとキセルハゼが出現している。
4.キセルハゼだけ他の3種と比較して体長が大きい。このことからクボハゼは小さな河川干潟でも出現するが、キセルハゼは大きな河川干潟でないと出現できないのではないか。
5.いずれも絶滅危惧種に指定されている魚たちだが、干潟の生息環境に応じてうまくすみわけていると思った。
6.元旦早々から「魚採り」をし、「家族の不平・不満」をかいながら「クボハゼ発見じゃあ!」と大喜びするサポーターも部員からすれば希少生物らしい。
今回クボハゼの生息地は記していません。普段活動している地域ではなく、万が一、地元の方の中に研究されている方もおられるかもしれないからです。
また、生息地の写真も表で隠しています。極めて小さな範囲だけ見えるようにさせていただきました。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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