盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
タビラクチは、広島県レッドデータ2011において、絶滅危惧Ⅰ類、国では絶滅危惧ⅠB類とされている。この日の干潟調査では、キセルハゼの生息の確認が主たる目的で、一人のサポーターが順調に2尾採取し終えていたころ、もう一人は干潟の泥に埋まり、悪戦苦闘していた。「腰深くまで埋まって何探しょうるんかな」と500m離れた場所で見ていたらしい。泥から脱出するためにあくせくしていたとは言いたくないが、全身泥だらけで戻ったのでバレバレである。
ほんま今日で「今年の調査納め」とお互い決めていただけについとらんなあ。と、フラフラになりながら浅場を探った。潮が満ちていく。エビや魚も流域を登り始める。網の向きを逆にする。干潟での採集のコツの一つである。
「もう上がるで、記録も撮らんといけんし」「いや、先に行っといて、エビがたくさん入りだした」「分かった」「おおっ、何かとれたで!」「やっとキセルハゼ採れたん?」「うんにゃ違う!縦線がある、今までのと違う」「うそじゃろ?老眼じゃけえなあ」「チクゼンハゼでもない・・・」「見せてみ、うわあ、タビラグチじゃが!」ということで、土壇場で春から探し続けてきたタビラクチが、私のヘロヘロの網(網も泥脱出の際穴だらけになっていた)に入ってくれた。どちらのサポーターにも幸運が訪れたということでめでたしめでたし。
1.まるでカエルのような口と目、縦線と横帯のコントラスト、遊泳能力のなさそうな小さなひれ、変わった形のハゼである。このスタイルは、やはり特定の環境に適応した結果といえそうだ。つまり環境変化に弱い魚だと感じた。
2.日本固有種であり、ずいぶん前から生息していると聞いてきた。いつか採りたいね、と言い合っていただけにとてもうれしかった。
3.この干潟には、まだまだいろいろな通し回遊魚・汽水魚がいそうだ。私たちは、浅場のごく一部について調べたにすぎす、もっともっと知りたくなってしまう。今年中にまた行く気がする。
今回の写真も背景を写していないものにしています。ヒナハゼがペットショップに売っているのと同様に、こうしたデータを悪用して商売にしようとすることもたびたび見てきました。
また、興味だけで採集に行くと大変危険です。泥からの脱出方法など知らずに行くと命に関わります。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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