盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
前回の活動報告で「ヒナハゼ」が1尾記録されたことから再調査を部員たちとともに行うことにしました。例年なら個人研究や1年間のデータをまとめる時期なのですが、そんなこと言ってられません。
干潮時間である8時前に到着するよう出発し、現地に着くと、残念なことに2日前までの雨のせいで流量が多く、採集した地点まで河口域を渡るのは危険と判断しました。大切な部員たちです。少しの間ぼーっと佇んだ後安全な場所へと移動して、調査を始めました。とてもヒナハゼが生息できるようにポイントはありません。
が、サポーターの一人が「チワラスボとったどー!」とはしゃぎます。この流域でいることは聞いていましたが自分たちでは初記録です。もう一人は、マサゴハゼたちと戯れていました。部員たちが戻り「これ、マサゴハゼですか?」「そうだよ」と答えた時、その横にいた魚が「なんじゃこりゃあ?」。半世紀に及ぶ人生で2人とも見たことのない魚を、部員たちは採っていたのです。
いつものようにサポーター2人は二手に分かれ、すぐに調査開始です。ツマグロスジハゼがわんさか採れます。それに飽きた一人は、マサゴハゼやエドハゼが生息する可能性の高いポイントを確かめに、部員たちは、もう一人のサポーターの周辺で採集していきました。
マサゴハゼを採取したサポーターは、ヒナハゼが生息できそうなポイントを探してうろうろし始めます。
その間、じっと丹念に探し続けた3人に魚の神様は微笑みました。
結局部員たちが採集した1尾は、ウキゴリ属までは判別できましたがエドハゼでもチクゼンハゼでもなく、2人でわいわいもめあっていました。「ニクハゼか?」「うーん?ちがう。なんちゃらハゼ・・・思い出せん」「なんじゃ、それ意味分からん」部員には迷惑ですね。
1.採集できたのは、ツマグロスジハゼ・ウロハゼ・アカオビシマハゼ・マサゴハゼ・ヒメハゼ・チワラスボとウキゴリ属の1種を含め、ハゼの仲間7種とガンテンイシヨウジ・ネズッポ属の仲間でした。
2.何十年も魚と戯れてきたサポーターが「名前が分からん魚」に出会った時の姿は、見ものでした。この流域での初記録になるかもしれません。
3.こういうときのサポーターは、大変機嫌がよく「予備のカメラと観察ケースを使っていいよ」といって、記録を撮らせてくれました。
4.魚さえ与えていればニコニコしているんだから、ネコと同じかそれ以下です。
日曜日なので家に戻り、文献や図鑑を手当たり次第確認した。その結果、絶滅危惧種1a類の「キセルハゼ」と判明しました。広島県にも大変ゆかりのあるハゼでもあり、今回の活動報告では一切場所が特定できないものにしています。ご了承ください。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)