盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
前々からやらねばと思いつつ、適当に済ませていた調査があります。それは、私たちのクラブの活動の中心である芦田川の河口堰の下流域にある干潟の調査です。「チワラスボやタビラクチがいたよ」「こうやってこうして(詳しく書くのは控えます)採るんだよ」と聞いてはいましたが、泥が深く、調査後の泥だらけの胴長の処理を考えると、躊躇してしまっていました。
ただ、いつまでもほっとく訳にもいかず、いつか部員たちと調査する時に「安全な調査ポイント」を探しておかないといけないため、干潮時に合わせて、空振り覚悟でサポーターだけででかけました。
車を安全な場所へ止め、ふと川を見ると干潟中央にすでに入っている人がいるではありませんか。安全に移動できるルートがある訳です。一人は河口堰下から流れる水路に沿って移動し始めました。成功です。もう一人は、さらに下流側の階段から移動をはじめ・・・埋もれてしまいました。撤退です。くそっ!後を追いかけます。
想像以上に深みと浅場が入り組んでいて、部員たちと行うときは十分注意する必要があると思いました。
と、想定外の魚を1尾だけですが採集できたのです!
1.採集確認できた魚は、多い順にウロハゼ・シモフリシマハゼ・アベハゼ・シマイサキ・クロダイ・マハゼ・ツマグロスジハゼ・クサフグ・ネズミゴチ・ヒナハゼの10種でした。
2.1を見て「あれっ?」と思った方は、私たちのクラブページをよく見てくださっている方です。ありがたいことです。そうです。ヒナハゼが採取できたのです。12月ですよ。産卵も終わり、寿命がつきているはずなんです。しかも、少なくとも27年間芦田川を調べてきたサポーター二人とも、この魚の採集記録は知らないのです。さらに瀬戸内海分布域も拡大される新記録かもしれません。いやあ、無欲の勝利というか、日ごろの心掛けの良さというか・・・ということで、採取した方のサポーターはほおが緩みっぱなし、もう一人の方はどくれたままとなりました。ホント、ストレス解消と知的好奇心を満たすのは魚採りですね。
3.調査可能と分かったし、潮が満ちてきたときに胴長を洗えばいいという単純な解決法も見つかったので、近いうちに部員とくることになりそうです。
芦田川での採取個体は、小さくやせ細っていた。成長が不十分なため成熟せず、産卵できないまま生き残っていた可能性が高いため、来年の秋にはきちんと調べたい。
今年の海水温の異常な高さは、魚たちの分布に大きく影響したのかもしれない。
標本にして記録しています。
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