盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
広島県東部の島々の淡水魚類相調査も4回目になります。この日は、前回十分に魚たちの種類を調べきったとは思えないまま帰路に着いた因島の再調査を行いました。
「最上流部にオオヨシノボリが生息しているのではないか?」「下流域にビリンゴなどのまだ未確認のハゼ類が生息しているのではいか?」という2つの仮説を立てて出かけました。
なお、私たちのクラブが淡水魚にこだわるのは、次の3つの理由があります。生活のための飲み水として利用されている川の水は、地球全体のわずか1%過ぎない貴重なものであること。その水の中で生活する魚たちは「水のバロメータ」になること。そして、何よりも淡水周辺から移動できない魚たちは、分布の広がりから地球の歴史の生き証人になるからです。この日の調査は、大変厳しく、かつとてつもない驚きを与えてくれました。
ダム直下の最上流部に迷いつつ何とかたどり着き、調査をしたもののメダカ・ブルーギルしかいません。しかも数が少なく、きれいな水が流れているだけで、がっかりです。干潮の時間までまだ時間があるため、調べておいたもう一本の川の上流へ。地元の人に聞いても「何もおらんよ」「普段は水は流れとらんよ」と言う言葉。それでも無理して川に降り立ち、その通りでした。収穫は、着ていたフリースにびっしりついた草の実だけでした。帰ってからまた怒られるなあ。ところが・・・
下流域での調査で、広島県では初記録かもしれないヒナハゼを採取!驚いたのなんの。沖縄にいるハゼなんだもの。元々南方系で最大3cmになる小さなハゼで、1年で死ぬ両側回遊魚であるらしい。黒潮にのって千葉県あたりまで少しずつ分布を広げているらしい。それは地球温暖化の影響と言われていること。今年は水温が高く、広島県東部まで広がってきたのかなという想像。愛媛県松山市レッドデータ2012には瀬戸内東限は重信川であると書かれていること。それより因島の方が東だぞ。いろんなことが交錯し、何という出会いをしてしまったのだと思った。
この日は、ウナギ・ゴクラクハゼ・ミミズハゼ・アベハゼ・チチブ・ヒメハゼ・マハゼ・クロダイ・シマイサキ・メナダも採取できました。が、ヒナハゼが強烈すぎて、何か感動しませんでした。
なお、ヒナハゼは観賞魚としてペットショップなどでも販売されたりします。そこで、生息地とは異なる流域の写真を掲載しています。ご了承ください。また、冬季に死滅することもあり貴重な資料として2個体標本にさせていただきました。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)