盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
これまでの情報では因島には「メダカだけ生息している(平川ら2011)」となっていました。また、この島出身のOBの調査でも「川の水が枯れるため、魚はいない」という結果でした。しかし、因島の川にはダムもできており、安定した流水があるのではないかということ、さらに近くの島々でも数種類の魚が採取できたこと、そして隣接する愛媛県の島からはオオヨシノボリなどが報告されていることなどから、「魚はおるで!」と一日がかりで調べることにしました。大川の中流域で午前中、干潮になった午後からはその河口域で調べてみました。
やはり川には水がしっかり流れていました。しかも、とても採集しやすいポイントがあちこちにあります。島の人に聞いても「ウナギがたくさん上がるんじゃ。ダムの壁にびっしりはりついとる。」と言ってます。水もきれいだし、魚も素直なのか網にどんどん入ってきます。昼食を食べる時間ももったいないとパンをかじりつつ、多くの種類の魚を確認でき、現地に足を運んで調べる充実感を味わいました。
1.中流域では、ウナギ、メダカ、ブルーギル、シマヨシノボリ、チチブの5種が確認できた。シマヨシノボリが分布していることから、もう一度調べてみる必要が出てきた。
2.河口域では、ウナギ、ヒメハゼ、チチブ、マハゼ、ツマグロスジハゼ、シモフリシマハゼ、クロダイ、シマイサキ、クサフグの9種が確認できた。まだ、ビリンゴなどの未確認のハゼ類が出る可能性が高いと思った。
3.何度か干ばつを繰り返したために、塩分耐性の弱い純淡水魚は滅んでいるかもしれないが、想像していた以上に多様性のある魚類相である。
4.潮流の速さと水深の深さにより広島県東部の島の河川には、淡水魚が少ないという説は、少し改めてみたほうがいいと感じた。
OBの調査を信じていたために、これまで調査に行く気にならなかったが、これだけ見つかればもう一度行くしかない。「わしらが来るのが恐かったんかなあ」と話しながら帰路についた。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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