盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
9~10月の大雨で、地方新聞に「向島近くの海でフナが採れた!」という報道がされました。これまでいろいろな河川で魚類相調査をしてきましたが、備後地域の島々の河川については全く知らないこともあり、川の数や形態・ようすを見ることと、生息する淡水魚類を調べてみることにしました。
なお、私たちが予備知識としてもっているデータは「広島県の瀬戸内海島嶼部における淡水魚類相の特性」平山・頭山(2011)だけしかありません。
とりあえず尾道から無料で橋のかかっている向島から調査をはじめることにしました。
平山ら(2011)によると、生息しているのはメダカだけとなっていることもあり、「川らしい川はない」「幾度となく干上がっているはずなので淡水魚はいない」という悲観的な会話を交わしつつ、計4本の小川で調査していきました。
ところが、純淡水魚としてメダカだけでなくギンブナ・カダヤシも採取できました。さらに通し回遊魚(二次淡水魚)も、ビリンゴ・チチブ・アベハゼ・ゴクラクハゼ・マハゼ・シモフリシマハゼ・ヒメハゼと8種も、さらに周縁魚としてチヌ・シマイサキ・ボラ・メナダ・クサフグと5種も採取できたのです。本当に驚きました。
1.4本の川で見つけたギンブナは1尾だけだったことから、大雨で流された淡水魚が向島までたどり着いたのではなく、誰かが放流したものだと考えられる。
2.少なくともカダヤシは北米産の外来魚であるため、間違いなく放流であるといえる。
3.知っていたデータでは「ハゼ科魚類は出現しない」ことになっていただけに、対岸の干潟と魚種的にあまり変わらないことに驚いた。
4.そうなると俄然興味と疑問が湧いてくるし、天気もいいことだし島の調査を続けていくことに決定した。
最初に「島の河川調査」を提案したサポーターは、ほっとしていました。散々「行っても無駄」という声を聞く中で「行ってみんと分からん」とごねてきたからです。
島の小川は、規模も小さく「中高生の採集調査に最適」でもありました。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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