盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
大潮の干潮が午前6時、文化祭までこの日・この時間が広島県の貴重な魚たちのうちの数種を見てもらう唯一の機会だ。5時に待ち合わせ出発、部員の一人は体育の時軽い捻挫をしていたと判明。「記録を撮ります」つまり干潟の中は歩けんということね? 潮が引いた干潟の河口まで埋もれ埋もれて進むしかないのである。そんな場所だから人も入らないし、貴重な魚たちも生き残っている。
ん? 干潟の澪筋が6月のときとだいぶ違う。たまりに魚の姿が見えん! あれほどいたのに! ハクセンシオマネキの大コロニーの密度も減っとる!
9月の大雨・洪水ですっかり干潟の形も変わり、魚たちの数も減ってしまっていた。
黙々と泥の中を進み、海を目前にし、タモ網で採集しながら澪筋をさかのぼっていった。スジハゼ・アシシロハゼ・アベハゼ・シマハゼ・マハゼ・ヒモハゼ・メゴチなどが採集できる。
場所を少し移動し、再度挑む。ビリンゴばかりだ。と、ようやくマサゴハゼが数匹採れる。6月にはうじゃうじゃいたのに。と、エドハゼも1尾採集できた。
しかし、あまりの数と種類の少なさに3人ともしょんぼり。このままでは文化祭の展示ができなくなる。口数少なく帰路に就いた。
採集では最も信頼している部員のアクシデントはつらかった。チワラスボ・チクゼンハゼ・エドハゼの採集が大きな目的だったのだ。特にチワラスボは、長く飼育することが難しく、飼育の仕方を学習し、人工海水も手に入れ、文化祭で展示した後も元気なまま復帰させる予定だった。ひざまで埋まるような干潟の砂泥地は広島県でもずいぶん減った。減ったのと同時に、そこにすむ生き物のことを知る人はもっと減った。
滅びゆく生き物を採集し展示するのは、心が痛む。でも、多くの人が知らないまま滅んでしまうことは、もっと心が痛む。
文化祭には1000名近い人か来る。チワラスボ、たくさんの人に
見てほしかったなあ。
「石川や浜の真砂は尽くるとも世に盗人の種は尽きまじ」と五右衛門さんがおっしゃられたそうですが、ほんまなんですなあ。あんなにたくさんいた真砂鯊(マサゴハゼ)がつきてしまうとは・・・
また、湾内にいる稚魚たちによって生態系が回復するのを祈るしかない。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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