盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
広島県の絶滅のおそれのある水生生物の現状をできるだけ自分たちの体で感じていく活動を毎週のように続けています。今回は、大規模商業施設建設のために本来の生息地である福山市から引っ越しさせられてしまったダルマガエルたちのようすを「ダルマガエルの里」代表の井藤さんから教えていただきました。
大きなビオトープと農薬を使わない田んぼ、そばには自然に限りなく近づけた形で改修した小川、冷たい水が田んぼに入らないよう工夫した「ひよせ」と、たくさんのきめ細かい心配りがされていました。
井藤さんのお話には圧倒されているようでした。
広島県では2カ所しか生息していないカエルであること。無農薬による米づくり、枯れない水場づくり、冷水を防ぐ「ひよせ」の工夫などを行うことで、ダルマガエルの自然繁殖に成功している。毎年増えていること。「繁殖はとても難しい」と言われていたが、うまくいっていること。「ダルマガエルを保護している」つもりはなく、「本来の自然をそのまま残している」だけであること。ダルマガエル米は、多少高い値段でも毎年買ってくれる人がいる。おいしさと安全は伝わること。ナゴヤダルマガエルに分類されているが、明らかな違いがあって、「岡山地域集団」は今後、別亜種のカエルにされていくかもしれないこと。米の品種を、カエルにあわせて遅い収穫の品種にしたこと。カエルをさわるときは必ず手を濡らすこと。カエルがやけどするから。
1.本来の生息地である神辺町から移転させることは、研究者によっては「移転させた場所の生態系をこわす移入であり、すべきことではない」と原則論を唱える人も多いこと。
2.移転させた「ダルマガエルの里」では、より自然な生態系に近づける工夫の結果、競合種であるトノサマガエルも増えていること。
3.目の前で明らかに絶滅すると知りつつ、手をこまねいているのもおかしいと県や市と交渉しながらここまで活動されてきたこと。そのことを、地域の子どもたちの環境学習や他県からの見学者に丁寧に伝え続けていること。
4.「本来の自然」を神辺町に残すことができなかったのだろうかということ。
5.ビオトープよりも井藤さんの田んぼの方がカエルには居心地が良いらしく、井藤さんの自然へのこだわりのすごさを感じたこと。
実際にダルマガエル・トノサマガエル・ツチガエルをタモ網で採集し手で触ってみたり、カエル釣りを試してみたりした後、ダルマガエルは、県の指定種であるため、すべてもとの場所へ逃がしました。
トノサマガエルは何匹か飼育させてもらうために持ち帰りました。
井藤さんの作ったお米も分けていただき、近々みんなで食べてみる予定です。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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