盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
前夜、上海市の地図を見ながら中国産のスイゲンゼニタナゴがある程度採集・記録できたら「できるだけ水が澄んでいる」「浅くて採集しやすい」ポイントを空想した結果、午後からの採集は、上流域へ約40km移動した地域にしぼりました。
実際、移動していくにつれ、自然が増えていき、湿地帯らしき看板も目にするようになりました。小1時間後、案内役の王さんに「ここはどうだ?」と言われ、水辺を除くと「小さな魚が群れて泳いでいる」様子がはっきりと見えます。どう見ても体長4cmどまりのタナゴ類です。すばらしい風景です。桃源郷です。
一人は、胴長をはき始めました。日暮れまで時間がないのです。もう一人は、120cmのタナゴ竿を出し始めました。「中国でタナゴを釣る!」ことが夢だったのです。
胴長にタモ網を手にした者、タナゴ釣りを始めた者、私たちの気持ちを察してもくもくと仕掛けにエサを入れタナゴを集めようとする王さんたち・・・。お互いのようすは全く分かりませんでした。それぞれ自分のことで精いっぱいなのと、「こんなに美しくタナゴ類の生息する原風景がある」ことに圧倒されていたからです。
釣りは、一投目から釣れました。狙い通りです。エサの大きさを0.5mmほどにしてすぐに食いつけるようにしたからです。体長2.5cmほどの小さなカラバラタナゴがハリの先についていました。続けざまに4尾ほど釣り、後は中国産スイゲンゼニタナゴが釣れることを祈りながら竿を出しました。
王さんたちは、仕掛けにかかったタナゴたちを次々にバケツに移してくれていました。胴長をはいたパートナーのことはすっかり忘れていました。
1.中国で大魚を釣るなどという書物を何冊か読んでみて、何か物足りないなと思っていました。水中での魚の様子が分からないことと、大きければいいというわけではない、と思うからです。「中国で相手にされないくらい小さな竿と仕掛けで、メダカより小さなタナゴを吊り上げる」という長年の夢がかなったのは本当に嬉しかったです。できれば中国産スイゲンゼニタナゴも釣れれば最高でしたが。
2.日本のタナゴ類よりも動きが活発です。素早いので、タモ網で採集するのは効率が悪いと思いました。釣りだとエサに向けて突進してきます。ただ、カラバラタナゴばかり釣れ続けるという場所でした。
この地点での中国産スイゲンゼニタナゴは、結局王さんたちが採集してくれた個体だけで下。一体日本から来た二人は何をやっているのか、と王さんは言いたいことでしょう。この日で、上海海洋大学との共同採集は終了です。明日からは二人きりでの採集です。どっとさみしさが襲ってきました。本当に中国の優しさにどっぷりつかった3日間でした。
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