盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
長年保護活動を続けているスイゲンゼニタナゴの近縁種が、近年中国の色々な流域から報告されています。韓国の近縁種は10年前につてを頼り、採集にでかけ、生息場所のようすも確認ができたのですが、なかなか中国での調査は実現不可能なまま永遠の夢でした。
しかし、今回つてのつてのつてをたどり、上海海洋大学の唐教授と大学院生の王さんと出会えることになりました。行くなら繁殖期の今しかない!さっそく休暇届けを出し、仕事を仲間に押し付け、この日のためにコツコツためていた貯金をおろし、旅立ちました。
空港へは、知人の知人がタクシーで迎えに来てくれ、まずは一安心です。日本語も中国語も話せる人だからです。なされるままに案内され、昼過ぎに上海海洋大学へ着きました。
唐教授は、暖かく迎えてくれ、2006年上海での記載論文と地図を確認しながら、生息状況を話してくれました。汚染が進んでおり生息域はかなり狭くなっていて、行けば採れるなどと簡単なものではないと話されました。
また、大学院生の王さんは、明日からの3日間私たちの採集の案内と運転手の手配など、とにかく付き合ってくれることになりました。
1.あっという間に上海にいて、たどたどしいながらも旧知の知り合いのように「1種の魚」について笑顔で話している。国も言葉も関係なく、好きな生き物についての思いを共有し合うときの特徴だ。
2.上海は、揚子江の河口域に発達した町だ。水路もよく発達し、とても日本での採集は通用しないと思いつつ、いろんな採集用具を持ってきている。目的の魚に出会えなくても明日からの採集を精一杯やってみようと思った。
3.中国では、タナゴ類をまとめて「パンピー」と呼ぶことが分かった。30種前後生息し、手作りの中国産タナゴ図鑑も見せていただいた。後日もう一人のサポーターへ送られてきた。自費出版物のため、一冊でもありがたい。
4.学内の池も覗いた。28種が生息するとのこと。「パンピーはいない」と王さんは言う。でもタイリクバラタナゴが観察できた。中国初のタナゴとの出会いだ。
明日から採集に出かけるというのに、安いホテルに戻るとさっそく周辺の水路を覗きに行った。流幅30~40mののっぺりと流れる水路ばかりで、水も濁っている。胴長をはいて中に入れるかどうかだけで不安だし、日本だととてもタナゴ類が見られる環境にない。
それでも川岸までたどりつき、クルター類の産卵活動やカダヤシが見られただけでも嬉しかった。
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