盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
シロウオが産卵遡上する時期になりました。昨年は調査する機会がなく、確認に出かけてみることにしました。干潮から潮が満ち始める頃合いを調べておきました。その時に遡上するからです。
いました!採集開始から10分、立て続けに一人のタモ網に入りました。今年も世代交代を重ねているんだと思うとうれしくなります。もう一人は、いくら頑張っても採れません。しかし、魚の神様は見放さないのですね。二人で満ち始めた川の中を上っているとき、じっと水面を見つめ、素早くタモ網を・・・見事遡上中のシロウオを網におさめていました。
流幅1mもない小河川ではシマヨシノボリの生息が確認されました。このことから、いくつかの疑問が生まれましたし、ぜひ部員たちの学習教材になると判断して、2個体ずつ標本を作成して帰りました。
シロウオの生息も沼隈半島小河川に生息するシマヨシノボリの生息も把握していましたが、それでも「今年はどうなのだろう?」と思うと気になって仕方なくなります。
その成果があっけなく出たことから「エイプリルフールに違いない!家に帰ってたら写真データ違う魚になっとるで!」と言い合いながら久々のフィールドワークは充実したものになりました。もちろん部員たちの環境教育の教材になるよう疑問点を整理しながら記録をまとめていきました。
1.希少種シロウオの遡上する遊泳力は本当に弱い。小さな堰や魚道などの人工物でさえも遡上の妨げになるほどであると感じた。
2.シマヨシノボリは、なぜ半島の小河川に他のヨシノボリ類よりも優占して生息しているのか?
3.シマヨシノボリの半島での分布が連続していない。つまり、結構繰り返し調べても生息確認できない河川があるのはなぜか?採集はとても簡単な魚なのに。
4.小河川で採集したシマヨシノボリの大半が体長6~7cmの大型個体であった。当才魚・2年魚などの若魚が採集できないのはなぜか?両側回遊であり、仔魚期は海で過ごし川を遡行していくのであれば当然若い個体も多いはずだ。このままでは滅びるかもしれない。
上に書いたような疑問は、部員たちに解決してもらおうと考えています。部員たちの学習にもなるし、便利ですね。
ちなみに、一人は五十肩に苦しみつつ、もう一人は腰痛に悩みつつの採集です。きみは行くのか、そんなにしてまで、というメロディーが頭の中に流れてきました。
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