盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
クラブ1年間の最後のフィールドワークは、いつも福山市環境保全課の方々との「希少タナゴ類の産卵母貝の調査」です。今年で17回目くらいになります。水門を止め、水位を下げていただき、まず淡水魚の種類と生息密度を確認していきます。その後川幅いっぱいに一列に広がって、ヘドロの中に手を突っ込みながらタナゴ類が産卵できる二枚貝の種類と分布を作成していきます。川幅十数m、下流域から上流域まで40m位、ひどく臭いし、素手で調べないと貝と石の区別がつかないため、本当に大変です。
今年は、サポーターの一人がマレーシアに逃亡したため、魚種の写真記録・二枚貝の分布記録など、もう一人のサポーターだけでやりきらないといけないため、てんてこまいでした。
前日の雨と春休み中の活動のため、数人はさぼると思っていましたが、沖縄逃亡中の1部員以外、全員集合しました。すばらしい。あらかじめ環境保全課にお願いをして水門を13時まで閉めてもらえるようにお願いし、時間をかけて丁寧に調査をしました。本当に必死になって黙々とやっていました。例年以上に頑張る姿に胸が熱くなりました。
前年度の調査で、ヘドロの量があまりに多くなっていて、二枚貝もタナゴ類の密度も極端に減っており、最下流部のヘドロを吸引し取り除くことを提案し、実施してもらっていました。その成果が、ちゃんと出てくれるのか期待と不安でいっぱいでした。
1.魚種と生息密度:前年度17種 本年度24種とこれまでで一番種数・生息密度ともに大きくなりました。タナゴ類もヤリタナゴ・タイリクバラタナゴが回復するだけでなく、カネヒラ・アブラボテもかなり採集できました。他にはオイカワ・ヌマムツ・コウライニゴイ・コイ・ギンブナ・イトモロコ・コウライモロコ・ムギツク・カワヒガイ・モツゴ・カマツカ・チュウガタスジシマドジョウ・ナマズ・ギギ・メダカ・ドンコ・トウヨシノボリ・シマヒレヨシノボリ・オオクチバス・ブルーギルを確認しました。
2.二枚貝:昨年よりもヘドロが減り全体で129個体と昨年度の4倍以上採集できました。ヘドロの多い中流域にトンガリササノハガイが77個体、その周辺にドブガイが7個体、岩の周辺にマツカサガイが10個体、そして上流域に産卵に一番大切で昨年は3個体だけだったイシガイが35個体と急増していて、底の状態や流れですみわけていることが分かりました。
3.タナゴ類の復活だけではなく、二枚貝も復活していることから、ヘドロの除去には大きな意味があったといえそうです。提案したことが生物多様性の回復につながりつつあることがうれしかったです。
みなさんは、1か所・30分程度の調査で24種もの淡水魚を採集できたことがありますか? たぶんあり得ないと思います。芦田川自体がすごいのですが、その中でも生息する魚たちの多くを一度に確認できる地点なのです。ただ、魚採り後の二枚貝調査はしゃがんだまま約90分。これはきついです。珍しく飲み物をおごってしまった位きついです。今年は、自分たちでヘドロをかき混ぜて下流に流し上流域をもっとタナゴ類にすみやすい環境に変えていく予定です。魚や貝の写真記録をもっと掲載できればうれしいなあ。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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