盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
文化祭で利用した中国産「タナゴすずめ焼き」を1尾ずつ測定し、写真に残し、種の確認作業を部員たちが毎日続けています。なごやかにスタートした活動も、日々進めていくうちに大学の研究室のような落ち着いた雰囲気が漂い始めています。部長の指示で、グループに分かれ、毎日8尾ずつ測定していくのですが、昨日で40尾分のデータが集まりました。
そして、今日45番目に、とうとう芦田川で、か細い生命をつむぎ続けてくれている絶滅危惧種スイゲンゼニタナゴとほぼ同種であるカラゼニタナゴRhodeus notatusが出現しました。細かい分析は、まだ先になりますが、とりあえずみんなで歓声を上げました。
日々、部員たちの計測力・観察力が上がっていくのが伝わってきます。次第に「これ、タイバラっぽいですよね。」とか「中国ヤリタナゴでしょ?」とかいった報告がされていきます。サポーターは、計測に間違いがあったときのために、毎回8枚の写真を撮るだけです。
そして、今日「これ、どうみてもスイゲンゼニタナゴです!」と誇らしげに持ってきたのが左上の写真のタナゴです。タナゴの起源について調べた部員だっただけに、よほど嬉しかったのでしょう。
計測データも部員たちがエクセルでまとめてくれています。それが右上の写真です。外観からの判断と計測データからの判断では、ずいぶんと違いがでることも分かってきたようで、データを多くとっていく意味もつかんできたと思いました。
現段階での気付き
1.形態上の差異から、少なくとも4種以上のタナゴが確認されつつあること。
2.産卵管ののびた個体が多く含まれ、婚姻色も明瞭に出ている個体もかなりみられることから、間違いなく採取して食品加工した時期は春であること。
3.カラゼニタナゴの生息域は、はっきりとは言えないけれども遼東半島だけではないと思われること。
4.中国の資料では「小魚、食用に不適」としか書かれていないタナゴたちだが、本当に多様な種が同所的に分布していることが分かること。一度ぜひ現地に行かねばならぬ!
5.何よりも、部員たちの「感覚だけで生命を守ろうとする意識」が、「データ収集に基づいて生命を確実に保護していく方法論」に変わりつつあることがうれしいこと。
しっかりしてきました。ありがたいことです。
11月下旬には、スイゲンゼニタナゴの保護区域での河川工事が始まります。工事に巻き込まれないよう魚たちを工事区域から移動させるとともに不法投棄物除去の活動(要はゴミ拾い)をしていきます。
それまでにデータをまとめておきたいと考えています。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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