盈進中学高等学校環境科学研究部 (広島県)
私たちは、20年近く絶滅危惧種スイゲンゼニタナゴの生息保護地での産卵母貝の分布調査を続けています。
この魚は、現在岡山県の河川と広島県の芦田川にのみ生息しています。他のタナゴ類と同様に二枚貝に産卵する習性をもっていて、流れのある小川や用水路で、小型のイシガイやマツカサガイを選んで産卵します。
そこで、産卵期をむかえる前の3月に二枚貝の種類と分布をヘドロのたまった川底を手探りで確認しています。手はかじかむし、サポーターの先生はゆるめてくれないし、腰は痛むし、大変です。
ただ、長い間先輩たちの続けてきた活動をつなげてみると、この流域が、川底の状態だけでなく、すんでいる魚の種類、そして二枚貝の種類や数まで大きく変化していっていることが分かりました。
すでに2007年からスイゲンゼニタナゴの姿も見られなくなりました。多くいたマツカサガイは減り、泥地に適応したトンガリササノハガイばかりになり、他のタナゴ類の越冬地にもなっていない状況です。
1年間の決まった活動の中で、一番きつい調査です。しかも、ここ6年間はスイゲンゼニタナゴを一尾も確認できていないこともあって、とてもつらそうです。でも、誰一人くじけることなく、黙々とヘドロをほじくり続けています。産卵できるイシガイやマツカサガイを採集したときに、大きな声で地点と貝の名を叫ぶ姿は、とても誇らしくも見えます。
楽しみにしていた調査後の差し入れの飲み物も、今年は事業仕分けの経費削減のせいか、サポーターがせこいせいか、なくなってしまい、とても残念でした。
長年のデータを比べてみると、川底にシルトやヘドロがたまるにつれ、しばらくは大きな変化はみせないけれども、確実に個体数が減っていく原因になっていることが分かりました。
大阪でニッポンバラタナコの保護池を観察させていただいたとき、「ドビ流し」といって、池底の栓を抜くことでよりよい環境に戻す方法を教えていただきましたが、私たちの場合、用水路のヘドロを流すことによって下流の農家の方々にも悪影響が起きます。
自然保護は、机の上だけじゃできないとつくづく思います。
また、心なき人たちが幾度となく採集に来ることも地域の人からの聞き取り調査で知りました。本当に自分勝手な大人たちも多いと思います。
また、いろいろな活動を報告しようと思います。よろしくお願いします。
盈進中学高等学校環境科学研究部(広島県)
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