case09 忌部わくわくサファリ(島根県松江市)
2020.05.10 掲載
今回は島根県松江市の「忌部(いんべ)わくわくサファリ」さんにお話をうかがいました。
島根県の東部、宍道(しんじ)湖と中海に挟まれた地域に広がる松江市は、山陰地方最大の都市です。「水の都」として有名ですが、天守閣が国宝に指定されている松江城のほか、由緒正しい神社が数多く存在する歴史の街でもありますね。
忌部わくわくサファリさんは、そんな松江の豊かな自然の不思議に気づくことを目的に川の生き物調べなどを長く続けてきており、2018年には環境省の「こどもホタレンジャー」ではみごと奨励賞を受賞されています。
それでは、インタビュー開始!
活動を始めたきっかけは何ですか?
私たちが暮らしている松江は、とても自然に恵まれた環境ですが、それを実感していない子どもたちが多いように思いました。そこで、「この“松江”の環境のすばらしさに気づいてほしい」、「自分で思う存分体験してほしい」、そして「将来この松江に帰って来たいと思える大人になってほしい」という思いから、2005年にこどもエコクラブ「忌部わくわくサファリ」の活動を始めました。
クラブの「自慢」を教えてください。
近くにある千本ダム周辺をはじめとする森や川での生き物調査を中心に行っています。子どもだけでなく大人も一緒に自然体験ができるのが特徴で、参加者みんなが楽しむことができる活動です。むしろ、大人の方が夢中になることもあります(^^)!
また松江には島根大学の先生をはじめ、たくさんの専門家がいて、そのネットワ-クを構築しています。その専門家が何回も参加してくださいます。楽しみながら、専門家の話も聞くことができるのも自慢の一つです。子どもだけでなく、保護者・スタッフ・専門家など交流の広がりがたくさんあることも活動が続くことに繋がっているのかな?
これまでの活動で一番印象に残っているものは何ですか?
宍道湖のシンボルである「シジミのふしぎ」を学習院女子大学の品川明教授から学んだことです。子どもたちはまずシジミを観察し、水管が出たり、足が出たりするその動きに驚き、最初は食べものの一つでしかなかったシジミが、生き物であるということを実感しました。観察した後には、一番おいしい食べ方を学び(砂抜きや、ねかせることでじっくり旨みを引き出す方法)、おいしくいただきました。また、シジミについて知りたいことを子どもたちから聞きだし、その調べ方のヒントをもらったりして、シジミについて詳しくなることができました。
15年以上の長きにわたり活動を続けていらっしゃいます。長く続けていてよかった!と思うことを教えてください。
小1で登録した子が6年生まで続けてくれるのが嬉しいです。子どもたちの環境への気づき等、成長を感じますね。地域の自然を少しずつ見つけていく活動ですので、その不思議には限りがないなと感じています。子どもたちと一緒に体験していることは、まだ序章ですね。
逆に、長くやっているからこその悩みや、困りごとはありますか。
企画を考えてくれるスタッフの育成ですね。島根大学教育学部の学生が基礎体験活動として、関わってくれるようになり、助かっています。
活動を始めた当時の子どもさんと今の子どもさんで、活動しているときの様子や性格・気質などに何か違いはありますか。
発足当初(15年前)は、まだ遊びの中で自然に触れあう子どもが多かったと思います。今の子はほぼその体験がありません。今の親世代が自然の中での遊びをあまり体験していないのかもしれません。
こどもエコクラブに登録しているメンバーやサポーターは、自然体験に飢えている、または、機会を待っていた人たちです。私にとってごくふつうの活動なのに、とても自然を知りたがっていたり、楽しんでいたりすることを、強く感じます。
今の子どもさんたちにもっと生きものや科学に興味を持ってもらうためには何が必要でしょうか。
自分自身が体験し、気づきとそれを共有する場が大事と思っています。環境教育の教材のプロジェクトワイルドやプロジェクトウエットのプログラムの活用は、いいと思います。また、身近に起こっている環境問題を体験できる企画も興味をもってもらえます。
先ほどご紹介したシジミ学習がよい例です。シジミの観察からの気づきとすむ環境を知り、海水と淡水がまじりあう汽水域でどんな環境問題が起きているのかに気がつくプログラムですが、「食べて旨い生き物を守りたい」のも人間の本心。最後に味わって知る活動があると満足感がありますね。
クラブで長く活動している子どもさんは、特にどういう点が成長していると感じますか。
グループワークの時にリーダーとして積極的に活動できるようになります。また、活動の最後に参加者は全員感想や気づきを発表するのですが、その時にいちばん成長を感じます。回数を重ねるごとに、気づいてほしいことを発見できるようになっていきます。
子どもたちが活動を通して着実に成長するとともに、「ふるさと」松江を愛する気持ちを自然に身につけていっていることがよくわかりました。自分たちの「ふるさと」にしかない環境の特徴を活かす工夫をすることで、子どもたちの関心を引き付けることができるんですね。「忌部わくわくサファリ」さんのスタイルは、こどもエコクラブの仲間を増やしていくのに役立ちそうです(^_^)ありがとうございました!!
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- 地道にコツコツと地域で活動しているよ!というクラブ
- ゆかいなクラブ名の秘密、教えます!というクラブ
- 大学生・社会人としてがんばっているこどもエコクラブのOB/OG