毒はヒトを含む生物に害を与える物質です。天然に存在すると同時に、実は「毒」という考え方は、
多様で複雑な自然界を理解・利用するために人が作り出したアイディアでもあります。
生物活性化合物のうち、人にプラスに働くものを薬、マイナスに働くものを毒と呼んでいるに
すぎません。人体に有用な物でも、取りすぎると毒になることがありますし、その物質に対して
アレルギーを持っている人にとっては、毒以外の何物でもありません。自然界、そして人間の社会
には様々な「毒」が存在します。「毒」とそれに関わる私たち生物との関係を知ることは、自然界の
神秘と驚きに満ちた一面を知ると共に、現代社会を生きる私たちのよりよい生活への大きな助けと
なると、私たちは考えています。
本展では、自然界のあらゆるところに存在する毒を紹介します。また、毒と共に進化してきた生物の
歴史や、古代より毒を利用し、時には武器として、時には薬として(ずる)賢く使用してきた人と毒
との関係を、沢山のエピソードとともに紹介します。