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第44回:♪なにわ こどもエコクラブ・横山 肇さん(大阪府大阪市)

2015.12.10 掲載

こどもエコクラブに関わるサポーター・コーディネーターさんたちが、こどもエコクラブのサポートやコーディネートを通じ、どんな活動プログラムを行っているのか、またどんなことを感じているのかそのリアルな声をご紹介します♪

他のサポーターさんやコーディネーターさんのご意見は、クラブをサポートする側にとって大変興味深いものかと思います。このコーナーがクラブに関わる多くのみなさんにとって取り組みのヒント・今後の活動の充実のための参考となって、どんどんクラブが元気になりますように★

横山 肇さん (JECサポーター歴 10年目)

「なにわ こどもエコクラブ」では、「こどもたちの、こどもたちによる、こどもたちのための環境活動」をモットーに活動し、人のために役にたつボランティア精神をもつことを伝えていきたいと思っています。
 

クラブ名:なにわ こどもエコクラブ(大阪府大阪市) 

クラブカテゴリ:その他(地域の各小学校から応募してくれたメンバー)/メンバー60

-クラブProfile- インタビュー.bmp

☆なにわ こどもエコクラブさんは、大阪市の旧生き生き地球館を拠点に活動しているクラブです。60人程度の異学年異学校の小学生で構成されており、月2回の活動を中心に「大阪湾生きもの一斉調査」や「菜の花で回すCO2」プロジェクトをはじめ、夏のキャンプなどに出かけています。
大自然の中でいきものにふれながら「こどもたちによる」自由な活動を積極的に取り入れている代表サポーターの横山さんに、こどもエコクラブの活動を楽しく継続するコツやアドバイスをお伺いしました!

「なにわ こどもエコクラブ」を発足されてから、10年。どのようなきっかけで発足し、どんな目的で活動されてきたのでしょうか? また、こどもエコクラブで大切にされてきた基本的な考え方はありますか?

 「なにわ こどもエコクラブ」は、環境に強い子どもたちを育てることを目標として平成18年7月に誕生した「生き生き地球館 こどもエコクラブ」が、平成26年3月の「生き生き地球館」の廃館に伴い、名前を変えて発足したクラブです。 

このクラブの活動を「NPO法人シニア自然大学校」が「生き生き地球館 こどもエコクラブ」の時代から、子どもたちと共に活動を続け支援していました。現在は大阪市環境局のエコボランティアが支援しています。

※「生き生き地球館」は、平成9年に開館した大阪市立環境学習事業の拠点施設です。里山や田園風景を再現した1.4ヘクタールもの自然体験観察園や本館のジオラマ・地球シアター・図書館・ビデオギャラリー等、親子や多くの市民が楽しく学ぶことができる設備があり、環境意識の高揚にも大きな成果をあげてきました。

 

こどもエコクラブの基本的な考え方である「子どもたちの 子どもたちによる 子どもたちのための環境活動」を一番のモットーにしていますが、「子どもたち による」がなかなか難しく、いつも悩みながら活動しています。そこで「なにわ こどもエコクラブ」では、「子どもたちによる」をなるべく実現するために、環境に関する問題に取り組む以前に、まず仲良く友だちづくりを優先しています。 班長や上級生は下級生を助けいたわっていくこと、そして自分よりも弱いものを助けていく精神を養っていかなければと思います。さらに、人のために役にたつ ボランティア精神をもつことを伝えていきたいと思っています。

「なにわ こどもエコクラブ」では、毎年「大阪湾生き物一斉調査」に参加するなど、様々な活動をしていますが、その「大阪湾生き物一斉調査」や「菜の花で回すCO2」プロジェクトとはどのようなプログラムですか?
また、そのようなイベントの情報収集方法や、参加メリットについて教えてください。

 「大阪湾生き物一斉調査」は、国土交通省を中心とする国の機関と近畿地区の自治体等による「大阪湾環境再生連絡会」が主催し、大阪市、府、兵庫県、神戸市等周辺の自治体、大学等が協力して行われています。
活動内容は、海の生き物の観察と採集で市民の大阪湾に対する関心を高めるための参加型モニタリング活動です。一斉調査の結果は大阪湾の各地の水環境を把握する基礎資料にもされます。

「なにわ こどもエコクラブ」は内陸部にあり、子どもたちは海とは縁が少ないため、年に1回だけれども海の生き物とふれあいながら、陸上の100倍の数が生息するといわれる海の生き物の命の大切さ・大きさを勉強しています。

今年で8回目の大阪湾生き物一斉調査ですが、海のカリキュラムを年間3回くらいに増やして行きたいと思っています。
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「菜の花で回すCO2」プロジェクトは、菜の花の種まきからはじまり、移植、刈り取り、収納、唐箕(とうみ)を使った選別、油絞りの工程を経てBDF燃料を作成、その燃料で耕運機を動かすプロジェクトです。「菜の花は炭酸ガスを吸って酸素を出しているか?」と題して理科の実験も行います。

このプロジェクトは平成20年当時の「生き生き地球館」のスタッフの方たちから提案とご協力があり、それをきっかけに当時の「生き生き地球館 こどもエコクラブ」で取り組むことになりました。
以前は、高校などでも盛んに取り上げられたプロジェクトです。こどもエコクラブと関係した高校はBDF燃料にする小さなプラントを持っていて、理科の実験として活用していました。菜の花の搾油機は大阪府の中部農林事務所から借用して使用しています。

菜の花を育てその種からBDF燃料を作り耕運機を動かしたという中で、多くのことを学ぶカリキュラムを続けて、「菜の花で地球がよみがえり、こどもエコクラブを育てる」との思いでおります。
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「なにわ こどもエコクラブ」では「開講式」や「夏のキャンプ」をされているとのこと、そこではどんな工夫をされていますか? 
その他、苦労されていることや今後やってみたいことをぜひ教えてください!

まず、開講式ですが、前年度の3月の上旬に近隣の小学校6校にチラシを配布してメンバーを募集します。今では先着順であっという間にメンバーが集まって定員の60名が埋まってしまいます。
毎年1月頃から子ども達や保護者からアンケートをとって、事前にクラブのサポーターが1年間のカリキュラムを作成しています。また、メンバーの学年や性別に配慮し、たくさんの友だちが出来るよう班を編成するなど準備を入念に行い、大阪市環境局も同席の下で開講します。初めて子どもたちとの出会う開講式の日は、サポーターの私たちも緊張感で一杯です。
3ヶ月6回のカリキュラム内で、子どもたちが仲良しの友だちを探すのは結構難しいことです。みんな友だちや!と大声で叫んでいる子どももいますが、なかなかそんなわけにはいきません。

次に、「夏のキャンプ」についてですが、去年までは曽爾(そに)青少年自然の家に行き、豊かで雄大な自然に親しむと共に、いつもよりエコロジーな暮らしをしながら、仲間同士のふれあいを深める活動をしていましたが、今年はバス代も高くなり、保護者の経済的な負担を考え、近隣にある吹田市営のキャンプ場に変更するなどして遣り繰りしています。

 家庭の格差が感じられる咋今です。小さな野外活動でも工夫が必要です。子どもたち自身が相談して作り上げる企画がたくさんある中で、よいキャンプを考えていかなければなりません。しかし、大自然に抱かれた時の感動は何物にも代えられないものですので、これからも希望を持ってキャンプを続けてしていきたいと考えています。

クラブの活動を継続されて、どのようなことを感じられますか。また、これまで印象深い活動や、励みになった活動などがあれば教えてください。

子どもたちが家に帰るまで、私たちサポーターに責任があると感じていることは言うまでもありません。
遊んでいて子どもが怪我をすることは時々あります。サポーターの臨機応変の判断で処置をすることもありますが、常にサポーター同士で状況を共有し、出来るだけ早く子どもを保護者に預けると言うことも必要かと思います。

とても記憶に残った出来事としては、あるメンバーが夕方から熱中症になったようでキャンプ場では対応できず、救急車に来てもらい、その後を追って自家用車を走らせたことがありました。大変なできごとでしたが、サポーターとしてそういった場数を踏むということは大切なことです。一つの出来事で3つも4つも新しい発見があり、次に応用できる力が育まれるのではないかと思います。同時に「次を予測する力」も生み出してくれるようにも感じます。

さらに、緊急事態においても病院の先生や当事者である子どもにもしっかりと的確に状況を説明し、サポーターとしてのより良い意見が言えるようになったと感じることもあります。たとえば子どもの回復の状況によっては、キャンプ場から帰るときに出来るだけみんなと一緒にバスで帰してやりたいので、病院の先生に事情を説明して相談します。状況の判断をするには、日頃からの勉強が必要だと思います。

こどもエコクラブと接して感じる事、サポーターとしての経験を通じて自身が変化したことはありますか?

 人間は「誰からも必要とされていないことほどつらいものはない」と思います。ですから、子ともたちに対して、「いつでも助けてくれる大人(サポータ―)や友だちがいるのだよ」と常に伝えていきたいと思っています。年を経るにつれ、ますます深く子どもたち一人ひとりのことを考える時間が増えておりますが、私にも成長があるように感じます。友だちはいなくても君のサポーターはいるのだよ。

友だちだよ、仲間だよー。

サポーターになって、苦労したこと、困ったことはどんなことでしたか?またどのように解決しましたか?

「なにわ エコクラブ」に登録する子どもたちは、クラブの活動に取り組む目的以外に、本当は友だちを探しにやってくるように感じています。出来るだけ早く友だちが決まるとよいのですが、実はこれが子どもの活動の1年を決めると言って言い過ぎではありません。友だちがいないメンバーはだんだん活動に来なくなってしまうこともあるのです。
ですから、サポーターは開講式から3ヶ月くらいの間に「みんなが友だちだよ・・仲間だよ」と言いながら、なるべく一人ひとりの子どもにとって友だち探しの手助けをします。

活動をはじめて間もないサポーターにアドバイスをお願いします。

子どもたちは子どもたち同士による、自由な遊びが大好きなので、できる限り自由な遊びの部分を子どもたちに任せるとよいと思います。その中で子ども同士のことを観察し手助けしてください。

今後の活動への抱負や意気込みを教えてください。

「なにわ こどもエコクラブ」は、環境のことだけでなく、周りの大人たちが出来ないことに挑戦して少しでもボランティアの精神を学んでいく、そんなこどもエコクラブを目指しています。

 子どもたちが、まず子どもたちの中でしっかりボランティアの精神を持つよう導いていきたいと思います。

みんなもチャレンジしてみよう!

「リアルヴォイス」では、幼児から取り組める簡単なプログラムから、学校や地域全体で取り組めるプログラムをご紹介いただけるサポーター&コーディネーターを大募集しています!また「こんなプログラムを紹介してほしいな」というリクエストも同時に受付けています♪

タイトルを「リアルヴォイス」とし、ぜひ全国事務局までメールをお寄せください。
プログラムをご紹介いただいた方は、こどもエコクラブ粗品を差し上げます。
皆様からのたくさんの声(ヴォイス)を、お待ちしています!

こどもエコクラブ全国事務局