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【2020 壁新聞道場!】たのもーーーう!三重県 その1

2020.05.20 掲載

三重県からは7枚の壁新聞が届いたよ!
今週は岡本師範です。よろしくお願いしまーす★

三重県 その2

松阪市「三重中学校・三重高等学校 科学技術部」


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三重中学校・三重高等学校 科学技術部①の新聞を書いてくれたみなさんへ
師範から一言!

みなさんの壁新聞を読んで、さすが高校生だな、しっかりと活動し、まとめていることに感心しました。読む人を考え、自分たちがやってきたことを、ストーリー性を持ってまとめ、書いてあるので、分かりやすいです。

みなさんの活動のすばらしさは何点かあります。一つずつ述べてみたいと思います。
まず一つ目は、対象をよく見て、観察していることです。よく見ることで対象物の理解が進みます。
干潟以外の場所での環境教育で、自分たちが教えることに夢中になってしまうと、相手のこども達の声や様子が分からなくなってしまいます。でも大丈夫のようですね。こども達は、干潟以外での環境教育でやっていることの背景である「海に行ってみたい」と声を挙げたことに気付きました。
みなさんは干潟のすばらしさとそこにいる生き物に、多くの人が関心を持ち、海の環境保全に取り組んでもらいたいと考えていました。こども達が「海に行きたい」と声を挙げさせるやり方をやったのですね。うまいやり方です。みなさんがこども達に「海に行こう!」と言ったのではなくこども達から発せられた言葉でした。
さすがです。あとは海に行けば、こども達は自らの関心事にそって積極的に動き回るでしょう。

ウミニナの個体数調査を6年間実施してグラフにしました。個体数の変化をよく見ると春にかけて増え、冬にかけて減ることに気付きました。簡単なことのようですが、データを良く見て、細かい所に注意をするのではなく、全体の動きに着目することができていました。このような見方は、日常の中でも良くあることだと気付いていますね。例えば、地球温暖化の気温変化は、年ごとに減ったり増えたりしていますが、大局的な見方で温度変化を見ると、確実に地球は暖かくなっていることが読み取れますね。同じようにCO2の濃度変化もジグザグしていますが、確実に増えていることが読み取れます。

ウミニナの個体数変化の調査からみなさんのすばらしさが、もう一点見えます。それは個体数変化がどうして起こるかを考え、冬に死んでしまうのではなく、別の理由があるはずだと気付いて、別の場所に移動したのでは?と予想をしました。なぜ?と考える事とその理由を予想して解明する視点を明確にして、次の行動に移すことが大事です。みなさんはそれができています。すばらしいです。今は、他の場所のウミニナの個体数を数えているのかな?

みなさんの教育活動のすばらしさの2点目は、教育を受ける側の成長とともに、教育をするみなさん方も成長することに気付いた点です。自分たちが成長することを実感していますね。そういうことに目が行っていることがすばらしいですし、長続きする活動になります。一方だけの負担になると、やることが大変になり、長続きしません。教育をする側も、される側も充実感のある楽しい活動であることが大事です。

キーホルダーづくりでも、こども達の作業でのやり方にみなさんは注目したでしょう。発見がありませんでしたか?タッチプールでも、モビールづくりでもそうです。教える事ばかりに注意が行ってしまうと、発見がありません。些細(ささい)なことでも良いです。どうしてこどもはそんなことができないのかを発見すると、今度やるときにこどもへの注意点も理にかなったものになるでしょう。他の活動にも使える見方が分かると思います。

潟湖干潟の生き物探しで何をこども達は見つけましたか?予想通りでしたか?思わぬ発見をこども達はしていませんでしたか?
というような観察眼、科学をする視点を持つことが、全ての活動には必要だと思います。

とっておきのゴシドウ★

今回の壁新聞にもう一歩、発展を期待する点があります。
どんな教育をしたか、どんな活動をしたかはしっかりと書かれています。しかし、その活動で、そしてその教育でどんな結果が出たのか?どんな結果を見つけたのかが、書かれてないのが誠に残念です。
必ず発見があると思います。結果があると思います。全部を書く必要はありません。特徴的な結果や発見を1つ、2つでも具体的に書いてあると、読む側では意味のある活動であったな、意味のある教育であったなと理解できます。
それを見つけるにはどうすれば良いだろうか?やはり良く見る事、観察をすることでしょう。更に言うと始める前に何を自分たちは注目するかを考えておくことです。考え、こうなるだろうと思い描いておくと発見し易いです。とくに予想と違ったことがあると、それは大発見につながることもあります。

このような事は、たぶんみなさんは知っていて、やっているのだろうと思います。書かなかっただけでしょう。でも書かなければ自分たちの活動を、他の人に知らせることはできません。
特に科学技術部の活動の仕方として、忘れてはいけません。

 

三重中学校・三重高等学校 科学技術部②の新聞を書いてくれたみなさんへ
師範から一言!

もう一つの科学技術部からの壁新聞は、環境教育の面白さを書いてくれました。この壁新聞は、生き物に接してみての面白さを書いてくれました。本当にそうですね。実際に生き物に接してみると面白いことや感心すること、あるいはどういうこと?と不思議になることなど色々と発見できるので楽しいですね。

松名瀬干潟とは、河口干潟、前浜干潟、潟湖干潟の3つの干潟を総称して言うのですね。
折角。豆知識という欄でアマモとは?絶滅危惧種とは?などを説明しているので、松名瀬干潟とは?を最初に書いてもらうと話がすんなりと進みます、と同時に3つの干潟の違いや特徴なども書いてくれると、さすが科学技術部だなと思いますよ。
と私が書いたのは3つの干潟の違いがあるだろうと思っていますので、生き物調査や観察で違いを発見できるだろうと思っているからです。
環境教育の壁新聞でも書きましたが、どんな事をやる時でも良く見る事、観察をすることの大事さを伝えました。みなさんの活動でも良く見る事で、何故だろうという疑問が出ると思います。科学をする時の一番大事なことは、何故?と考え、その次にどうしてだろう、こうなるんではないかな?と仮説を立てることです。

みなさんが干潟で経験したことにも、「何故」がありますね。アシハラガニは、どうして大群で生きているのだろうか?近づくと皆がみな、そろって同じ方向へ逃げるのは、何故だろうか?ばらばらになって逃げても良さそうなのに・・・もう一つ、誰かが司令塔(とう)になって皆に“敵が来たよ”と教えているのではないかと考えて、カニを良く観察すると、何か発見があるかもしれないよ!面白いと発見をしました。科学する心は、それで終わりにするのではなくて、知的好奇心を持って、何故かを考えることが大事です。考え、良く観察すると発見があると思います。

潟湖干潟での経験でも面白いことに気付きましたね。足がどろに沈むとカニが喜んでいるみたいと感じました。その心も大事です。もう一歩、喜んでいるのは、どうしてそう見えたのですか?これもカニを良く観察するとカニの動作で分かるのですかね。そんなことも書いてくれると、さすが科学技術部の人だと感心されますよ。ここの経験をカニが町みたいに光ってきれい、と書いてありますが、どうして町みたいに光っていると感じたのですか?
ここは私が分からなかったことです。

アマモ場は小さな生き物が集まっているところですが、別の見方をすると大きな魚や生き物にとっては、エサがたくさんいる所ですね。敵におそわれない工夫がある所ではないですか?良く見てみると工夫が発見できると思いますが・・・地形的な特徴(とくちょう)や誰か敏感に敵の接近を知らせる生き物なり工夫があってもよさそうですね。どうだろうか?

とっておきのゴシドウ★

絶滅危惧や準絶滅危惧の生き物が増えていることは、日本の各地で見られますね。松名瀬干潟でもみなさんは発見したのですね。実際には、ハクセンシオマネキやオカミミガイなどはどれくらい発見できたのですか?あるいは、数が少なくて発見できなかったのかな?科学する心の2番目に大事なことは、データで勝負することです。自らが発見して、絶滅危惧、準絶滅危惧の実態を知らせることが必要です。本に書いてる、テレビで放映していたなどをそのまま鵜呑みにしないで、自分の目で確認して、絶滅の実態をみんなに知ってもらうことが大事です。

なぜ私がこういうことにこだわっているかですが、それはこの壁新聞でみんなが思っていること、考えていることにつながると思っているからです。まわりの人や松江市のみなさんが松名瀬干潟や海に対して考えることと、興味を持って行動してほしいことが、みなさんの希望ですよね。そのきっかけでこの壁新聞を作りました。

カニが一斉(いっせい)に逃げるのは、他の人も気付きますが、その行動のきっかけが「こういうことですよ」とみなさんが発見したことを報告すると、他の人もそのことに興味を持って、行動するきっかけに注目すると思います。

興味を持って行動してほしいとは、みなさんは、他の人にどうしてほしいのですか?何を期待しているのですか?生き物を絶やさないように干潟をきれいにして欲しい、海を汚さないで欲しいと言う事でしょう。でもこういうこともはっきりと書かないと他の人などんな行動をしなくてはいけないのかが分かりません。当たり前のことかもしれませんが、はっきりと書いて発信することが必要です。
少し厳しい指摘になりましたが、私も科学者の一人です。科学するとはどういうことなのかを皆さんに伝えたくて書きましたことを分かってください。
でも3人の笑顔の写真を見たら、安心しました。できそうですね!
楽しく、そして鋭い感性を持って、これからも活動をしてください。

岡本師範、ありがとうございました!次はどこの地域かな?お楽しみに!
siohigari.pngのサムネイル画像
 

三重県 その2

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